6月は「外国人労働者問題啓発月間」です。

厚生労働省から、令和4年の「外国人労働者問題啓発月間」について、お知らせがありました(令和4年5月31日公表)。
今年の標語は、「共生社会は魅力ある職場環境から~外国人雇用はルールを守って適正に~」です。

 同省では、6月1日からの1か月間、この標語を掲げて、外国人労働者問題に関する積極的な周知・啓発活動を行うということです。

 詳しくは、こちらをご覧ください。

<6月は「外国人労働者問題啓発月間」です>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25873.html

大手企業の冬のボーナス 平均で約82万円 2年連続で減少

 経団連(日本経済団体連合会)から、「2021年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」が公表されました。
 
 これによると、集計した164社の平均妥結額は、前年の年末とくらべて5.16%減の82万955円でした。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、2年連続の減少となります。
しかし、全体の減少率は前年の年末(9.02%減)とくらべて縮小しています。
また、調査対象の全19業種のうち、減少したのは9業種で、これも前年の年末より減っています。

 来年(令和4年)の年末には、全業種のボーナスが増加し、平均妥結額も増加に転じていればよいのですが…

初任給「前年から引き上げた」と回答した企業は約3割(経団連の調査)

 経団連(日本経済団体連合会)から、「2021年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果の概要」が公表されました。

 この調査は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために1952年より毎年実施されているものです。
 今回公表されたのは、2021年6月30日~8月31日に実施されたもので、有効回答があった473社の結果を集計したものです。

 たとえば、次のような調査結果が明らかにされています。
・初任給決定にあたって最も考慮した判断要因
 「世間相場」(27.9%)が最も多く、これに「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(22.9%)が続いている傾向に変わりはありません。
 一方、「人材を確保する観点」(14.4%)と「賃金交渉の結果による配分」(9.8%)は2年連続で減少し、「企業業績を勘案」(8.9%)が2019年(4.3%)から倍増するなどの変化もみられます。
・初任給の決定状況
 「前年の初任給から引き上げた」と回答した企業は29.9%(前年比12.7ポイント減)となり、3年連続で低下したものの、約3割に上っている。
 初任給を「引き上げた」企業の内訳をみると、「求人賃金として前年の初任給を示したが、賃金改定後引き上げた」との回答(77.9%)が最も多く、「求人賃金として前年の初任給より高いものを示した」が22.1%などとなっています。

37%の事業場で違法な時間外労働(厚労省が監督指導の結果を公表)

 厚生労働省は、令和2年度に、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例とともに公表しました。
 この監督指導は、各種情報から、時間外・休日労働時間数が1か月あたり80時間を超えていると考えられる事業場や長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象として実施されたものです。

 令和2年度の監督指導結果のポイントは、次のとおりです。
1.監督指導の実施事業場:24,042事業場

2.主な違反内容(1.のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)
①違法な時間外労働があったもの:8,904事業場(37.0%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの:2,982事業場(33.5%)
うち、月100時間を超えるもの:1,878事業場(21.1%)
②賃金不払残業があったもの:1,551事業場(6.5%)
③過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:4,628事業場(19.2%)

3.主な健康障害防止に関する指導の状況(1.のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場)
①過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:9,676事業場(40.2%)
②労働時間の把握が不適正なため、指導したもの:4,301事業場(17.9%)

 同省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしています。

無期転換の権利が生じた人のうち権利を行使したのは3割弱

 厚生労働省から、「令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)」及び「令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査)」の調査結果が公表されました。次のような調査結果が、報道でも話題になっています。
・令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)について
 労働契約法における無期転換ルールについて、平成30年度・31年度合算で「無期転換ルールによる無期転換を申込む権利が生じた人」のうち、「無期転換を申込む権利を行使した人」の割合は、「27.8%」。
 なお、無期転換ルールにより無期転換を申込む権利を行使した人の割合を企業規模別にみると、「1,000人以上」39.9%、「300~999人」22.2%、「100~299人」22.3%、「30~99人」17.1%、「5~29人」8.6%となっています。
・令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査)について
 有期契約労働者の労働契約法における無期転換ルールに関する知識について、いずれか1つでも知っていると回答した割合(「無期転換ルールに関して知っている内容がある」割合)は「38.5%」。
 なお、無期転換ルールについて知っている内容(複数回答)については、「契約社員やパート、アルバイト、再雇用者など呼称を問わず、すべての労働者に適用される」が68.9%と最も高く、次いで「契約期間を通算して5年を超えても、労働者から「申込み」を行わなければ無期転換されない」が51.9%、「無期転換ルールが適用されるのは、平成25年4月1日以降に開始(更新)された有期労働契約である」が46.0%などとなっています。
 無期転換の権利が生じた人のうちその権利を行使したのは、27.8%と3割に満たない結果となっています。特に、事業規模が小さい企業では、権利を行使した人の割合が1割を切っています。

「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」の中間とりまとめが公表されました。

厚生労働省から、「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」の中間とりまとめが公表されました。(令和3年6月28日公表)
 この検討会は、我が国の労働市場の動向や、その中における外国人雇用の状況を確認しつつ、アフターコロナも見据えた外国人雇用の在り方とその対応策について、具体的な方向性を議論することを目的として、厚生労働省職業安定局長が公労使の構成員の参集を求めて開催したものです。
 厚生労働省としては、この中間とりまとめで示された対応の方向性を具体的な施策に反映できるように検討し、外国人労働者に対する支援をより一層充実させていくこととしています。
中間とりまとめにおける外国人雇用対策の在り方と方向性のポイントは、次のとおりです。
・我が国労働市場への外国人労働者の包摂の状況や国際的な労働移動を適切に把握し、エビデンスに基づいた外国人雇用対策を講じるべき。
・コロナ禍で起きている複層的な課題を解決するために、関係機関が得意とする分野を生かして、連携して対応していくべき。
・日本と母国の文化ギャップの克服や、専門的・技術的分野の外国人労働者の長期キャリアを前提とした就労環境を整備していくべき。
・外国人雇用対策は、我が国の雇用や労働市場の質を向上させるという積極的な視点をもって推進するべき。

残業代の減少幅が過去最大に

 5月28日厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると、2020年度の月額所定外給与(残業代)は、前年度比で1人当たり13.3%減の1万7028円でした。これは、比較可能な13年度以降で最大の減少幅となります。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言で、飲食業などを中心に休業や営業短縮を余儀なくされたことが影響していると思われます。
 所定外給与を業種別にみると、コロナ禍で苦境に立った宿泊業・飲食サービス業(38.1%減)や生活関連サービス業・娯楽業(36.9%減)の落ち込みが目立ちます。製造業も18.8%減でした。
 全産業の所定外労働時間(残業時間)は13.9%減の9.0時間と、こちらも1991年度以降で最大の減少幅でした。
 基本給や残業代を合わせた月間現金給与総額は1.5%減の31万8081円で、8年ぶりに減少しました。勤務形態別では、一般労働者が1.9%減の41万6570円、パートタイム労働者は0.9%減の9万9083円でした。
 パート労働者が全労働者に占める割合は0.50ポイント減の31.01%と15年ぶりに減少しました。これは、雇用情勢が悪化した影響で採用が抑えられた可能性があるため、と考えられています。

定年後再雇用後の基本給6割以下は「違法」 自動車学校に賠償命令

 名古屋自動車学校で嘱託社員だった元教習指導員が、正社員との待遇格差の是正を求めた訴訟で、名古屋地裁は10月28日、「基本給が定年退職時の60%を下回るのは不合理で違法だ」として、自動車学校に約625万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。判決では定年退職時と嘱託時の職務内容に違いがなかったと認定しています。
 旧労働契約法20条をめぐる争いでは2年ほど前の長澤運輸事件の最高裁判決が有名ですが、このときは、定年後再雇用は考慮すべき「その他の事情」にあたり、正規と非正規(期間雇用)との差は不合理とはいえないとされました。この事例では社員給与の8割以上が支払われていた事例であり、その他の事情も含めて個別の案件の判断だとされましたが、それではいくら下げてもいいのかという疑問には答えていませんでした。
 今回の判例は地裁での判断ではあるものの、6割以下は不合理であり違法とした点に意義があります。賞与についても同様の判断をしています。同一労働同一賃金が言われている中「60%という数字は一つの基準になるだろう」(水町勇一郎東大教授)という声もあります。職務内容がまったく同じで再雇用するときは参考にすべきとおもわれます。

コロナ禍で6割強の企業が最終面接までウェブ面接(経団連調査)

 経団連(日本経済団体連合会)から、「2021年度入社対象 新卒採用活動に関するアンケート結果」が公表されました。
この調査は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が新卒採用活動にも及んでいる状況に鑑み、その影響と課題、対応状況等を把握するため、経団連全会員企業を対象にアンケートを実施し、集計したものです。
 2020年度(令和2年度)において、新型コロナウイルス感染拡大により、多くの企業で業績の不透明感が増しているものの、ほとんどの企業で新卒採用活動を実施したということです。その際の面接について、9割超の企業がウェブ面接を実施し、6割強の企業が最終面接を含めてすべてウェブを活用したということです。
 なお、ウェブ面接を実施した企業のうち、対面の面接より学生の評価が難しいと回答した企業は6割超だったということです。

休業補償を考える ー新型コロナに関連して

 新型コロナウイルスの影響は業種により様々です。様々というより、天と地ほど違う場合があります。そんななかで、一部上場企業の社員さんと話す機会がありました。女性社員(ノンバンク・経理)のほうは、もうずーとテレワークで通勤がない分楽ですねと言ってました。男性は飲食業の店長職ですが、会社の方針で、パート・アルバイトを含め、全員全額休業補償をしたと胸を張っていました。
 社員は全額補償(通常の給与を支給)、パート・アルバイトは労基法上の補償(1日あたり平均賃金の60%)というところが多いと思いますが、社員も労基法上の補償のみ(月給者の場合、実質40%程度にしかならない)、パート・アルバイトは補償なしというところもいくつか聞きました。この場合、パート・アルバイトについては労基法上の問題がある場合が多いのでお勧めはできません。
 業種との関連もあると思いますが、リーマンショック後に売り上げが回復してきたとき、人手の確保に大変な思いをしたということは製造業含めよく聞きました。居酒屋さんの場合、パート・アルバイトに頼る部分多いため、全額補償をしたとのことです。やはり大変な時に、しっかり補償してくれた会社で働きたいと考えるのは普通のことと思います。