令和5年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果を公表 賃上げ率は3%(経団連)

経団連(日本経済団体連合会)から、「2023年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)」の最終集計が公表されました(令和5年8月10日公表)。

この調査は、地方別経済団体の協力により、従業員数500人未満の17業種754社を対象に実施。そのうち、集計可能な367社の結果をまとめたものとなっています。

中小企業といっても、ある程度の規模の企業が調査対象となっていますが、これによると、定期昇給を含む賃金の引上げ額は、平均で8,012円(前年の同調査5,036円)、賃上げ率は3.00%(前年の同調査1.92%)でした。昨年よりも額・率ともに大幅に増加しました。

しかし、先に公表された「2023年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)」の最終集計(引き上げ額13,362円、賃上げ率は3.99%)と比べると、賃上げ率でも1%近い差があります。

いわゆるフリーランス新法が成立 フリーランスの保護強化

令和5年4月28日の参議院本会議で、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆるフリーランス新法)が可決・成立しました。

この法律は、働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とし、特定業務委託事業者(発注事業者)及び特定受託事業者(フリーランス)の取引について、特定業務委託事業者において、書面等での契約内容の明示、報酬の60日以内の支払い、募集情報の的確な表示、ハラスメント対策などの措置を講じることとするものです。

施行期日は、「公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

この法律などに関する厚生労働省の専用ページはこちらです。
<フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html

就活ハラスメントに関する情報ページが公開されました。

職場における総合的なハラスメント対策のポータルサイト「あかるい職場応援団」に、学生の皆様と企業の皆様へ向けた就活ハラスメントに関する情報のページが設けられました。(令和5年3月20日公表)

企業の皆様に向けた情報としては、「就活ハラスメント防止対策企業事例集」などが紹介されています。詳しくはこちらをご覧ください。

<学生の皆様と企業の皆様へ向けた就活ハラスメントに関する情報のページを公開しました>
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/syukatsu hara index

「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」が公開されました。

厚生労働省が、「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」を公開しました。(令和5年2月1日公表)
トラックやタクシーなどのドライバーは、物流や生活を支える、なくてはならない存在です。
一方で、こうしたドライバーの方々は、業務の特性や取引上の慣行などから、長時間労働となることが多く、ドライバーの健康と安全を守る働き方改革が急務とされています。
そのため、厚労省では、既存のポータルサイトを大幅にリニューアルしました。
令和6年4月からの自動車運転者への時間外労働の上限規制の適用に向けて、運送事業者の皆さまの働き方改革に役立つ様々な情報に加え、関係企業の方や国民の皆さまに役立つ情報を発信していく、ということです。

新型コロナ対策 屋外ではマスクの着用は原則不要 屋内では?(厚労省からお知らせ)

新型コロナの感染拡大防止のため、マスクの着用が当たり前になっていますが、これを不要とするタイミングが模索されています。
様々な意見があると思いますが、この度、改めて、厚生労働省から、マスクの着用についてお知らせがありました。

現時点では、次のように、場面に応じた適切な脱着を呼び掛けています。
・屋外では、季節を問わず、マスクの着用は原則不要です。・・・人との距離(目安2m)が保てず、会話をする場合は着用をお願いします。
・屋内では、距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合を除き、マスクの着用をお願いします。・・・人との距離(目安2m)が保てて、会話をほとんど行わない場合は着用の必要はありません。

各々で判断できることだとは思いますが、職場での対応において参考になるかもしれませんね。

女性の平均給与が初めて300万円台に しかし男女格差は依然大きい(国税庁の調査)

令和4年9月28日、国税庁から、「令和3年分 民間給与実態統計調査結果について」が公表されました。
「民間給与実態統計」は、統計法に基づく基幹統計の一つです。
民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積もり、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としたもので、その作成のための調査は毎年実施されています。

令和3年分の調査結果のポイントは、次のとおりです。

令和3年12月31日現在の給与所得者数は、5,931万人。
令和3年中に民間の事業所が支払った給与総額は225兆4,195億円で、源泉徴収された所得税額は11兆1,870億円(給与総額に占める税額の割合は4.96%)。

1年を通じて勤務した給与所得者について
・給与所得者数は、5,270万人(対前年比0.5%増、25万人の増加)で、その平均給与は443万円(同2.4%増、102千円の増加)。
・男女別にみると、給与所得者数は、男性3,061万人(同0.5%減、16万人の減少)、女性2,209万人(同1.9%増、41万人の増加)。

平均給与は、男性545万円(同2.5%増、131千円の増加)、女性302万円(同3.2%増、94千円の増加)。

女性の平均給与は過去最高の302万円となり、初めて300万円台に乗りましたが、男性の55%程度にとどまり、依然として男女格差が大きい状況です。

賃金不払残業に関する監督指導 令和3年度の是正企業数は1,069企業(前年度比7企業の増)

厚生労働省から、「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」が公表されました。(令和4年8月30日公表)。

この是正結果の公表は、平成14年度から毎年度行われているものです。
今回公表されたのは、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和3年度に、不払となっていた割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。

<令和3年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント>
・是正企業数:1,069企業(前年度比7企業の増) そのうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、115企業(同3企業の増)
・対象労働者数:6万4,968人(同427人の減)
・支払われた割増賃金合計額:65億781万円(同4億7,833円の減)
・支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり609万円(同49万円の減)、労働者1人当たり10万円(同1万円の減)

監督指導を受けて支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり609万円ということですが、簡単に支払える金額ではありませんね。

令和2年4月施行の改正で、労働基準法における賃金の消滅時効の期間が、「2年」から「3年(当分の間)」に延長されたこともありますので、日頃から、労働時間は適正に把握しておく必要がありますね。
なお、監督指導の対象となった企業においては、賃金不払残業の解消のために様々な取組が行われていますが、それをまとめた取組事例も厚労省のHPで公表されています。
 

6月は「外国人労働者問題啓発月間」です。

厚生労働省から、令和4年の「外国人労働者問題啓発月間」について、お知らせがありました(令和4年5月31日公表)。
今年の標語は、「共生社会は魅力ある職場環境から~外国人雇用はルールを守って適正に~」です。

 同省では、6月1日からの1か月間、この標語を掲げて、外国人労働者問題に関する積極的な周知・啓発活動を行うということです。

 詳しくは、こちらをご覧ください。

<6月は「外国人労働者問題啓発月間」です>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25873.html

大手企業の冬のボーナス 平均で約82万円 2年連続で減少

 経団連(日本経済団体連合会)から、「2021年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」が公表されました。
 
 これによると、集計した164社の平均妥結額は、前年の年末とくらべて5.16%減の82万955円でした。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、2年連続の減少となります。
しかし、全体の減少率は前年の年末(9.02%減)とくらべて縮小しています。
また、調査対象の全19業種のうち、減少したのは9業種で、これも前年の年末より減っています。

 来年(令和4年)の年末には、全業種のボーナスが増加し、平均妥結額も増加に転じていればよいのですが…

初任給「前年から引き上げた」と回答した企業は約3割(経団連の調査)

 経団連(日本経済団体連合会)から、「2021年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果の概要」が公表されました。

 この調査は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために1952年より毎年実施されているものです。
 今回公表されたのは、2021年6月30日~8月31日に実施されたもので、有効回答があった473社の結果を集計したものです。

 たとえば、次のような調査結果が明らかにされています。
・初任給決定にあたって最も考慮した判断要因
 「世間相場」(27.9%)が最も多く、これに「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(22.9%)が続いている傾向に変わりはありません。
 一方、「人材を確保する観点」(14.4%)と「賃金交渉の結果による配分」(9.8%)は2年連続で減少し、「企業業績を勘案」(8.9%)が2019年(4.3%)から倍増するなどの変化もみられます。
・初任給の決定状況
 「前年の初任給から引き上げた」と回答した企業は29.9%(前年比12.7ポイント減)となり、3年連続で低下したものの、約3割に上っている。
 初任給を「引き上げた」企業の内訳をみると、「求人賃金として前年の初任給を示したが、賃金改定後引き上げた」との回答(77.9%)が最も多く、「求人賃金として前年の初任給より高いものを示した」が22.1%などとなっています。