時節柄 休業手当(休業補償)を考える ー不可抗力とは 

 労働基準法26条は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者が就業できなかった場合には、その期間中、使用者は労働者に対し、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払うことを規定し、もって労働者の生活を保護しようとしています。
 この「使用者の責めに帰すべき事由」とは、幅広く解釈されており、経営者として、不可抗力を主張しえない一切の場合を含有するものと解釈されています。
 そこで、この不可抗力を主張できる場合とは、つまり、休業手当を支払わなくてもよい場合とは、どのような場合でしょうか。
 この場合の不可抗力とは、第一に、その原因が客観的に事業の外部より発生した事故であること。第二に事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの二要件を備えたものでなければならないとされています。
 現在、新型コロナウイルス感染が社会問題となっていますが、そのことによる経済的損失を誰が負担すべきかは問題となりつつあります。小さなロックバンドが計画したコンサートを中止したところ、1000万円の損失がでた。これをそのままかぶったら大変なことになると嘆いていました。
 あるお店や事業所を閉鎖した場合、「通常の経営者としての最大の注意」を尽くしていたかは当然のこととしても、「事業の外部より発生」という点も難しい問題があり、不可抗力であると認められる場合は限られるようです。
 やはり、政府が音頭をとって経済的な負担についても、積極策をとっていただきたいものです。