労基署の重点監督対象となった事業場の3分の2で労基法などの法令違反

厚生労働省は、1カ月あたり80時間を超える残業が疑われたり、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場を対象として、重点的に監督指導した結果、全体の66.2%にあたる6.659事業場で労働基準法などの法令違反があったと1月17日発表しました。

重点監督対象となった事業場の総数は、10.059事業場。このうち違法な時間外・休日労働があったのは4.416事業場(43.9%)、賃金不払い残業があったのが637事業場(6.3%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが1.043事業場(10.4%)でした。

違法な時間外・休日労働があった4.416事業場のうち、1カ月当たり80時間を超えるものが3.450事業場(78%)もありました。脳・心臓疾患の発症前1カ月間におおむね100時間または発症前2カ月ないし6カ月にわたって、1カ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があり、業務上の災害(労災)と認定される可能性がたかくなります。業務上の災害となりますと、事業主の安全配慮義務なども問われることとなり、債務不履行として損害賠償の対象ともなりかねません。ご注意ください。

 

雇用保険の適用拡大、育児・介護休業給付金の要件見直し等がスタート

これまでは、満65歳以上の方を雇い入れた場合、雇用保険に加入させることはできませんでしたが、平成29年1月1日以降は、65歳以上の労働者についても雇用保険の対象者となりました。1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上雇用の見込みがあることが要件です。28年12月末までに雇入れた方(そのとき65歳以上)も、1月1日以降は要件を満たせば雇用保険の被保険者になりますので、届出が必要です。なお、保険料は当面全額免除されています。

育児休業・介護休業給付金の支給要件についても見直しがされています。例えば、介護休業は、これまでは原則1回、93日を限度としていましたが、通算93日分を最大3回まで分割して取得することが可能となりました。現在の給付金(率)は、賃金の67%ですので、なかなか使いがいのある給付金となっているとおもいます。育児休業の場合は社会保険料の免除もありますので、ぜひご活用ください。