女性の平均給与が初めて300万円台に しかし男女格差は依然大きい(国税庁の調査)

令和4年9月28日、国税庁から、「令和3年分 民間給与実態統計調査結果について」が公表されました。
「民間給与実態統計」は、統計法に基づく基幹統計の一つです。
民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積もり、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としたもので、その作成のための調査は毎年実施されています。

令和3年分の調査結果のポイントは、次のとおりです。

令和3年12月31日現在の給与所得者数は、5,931万人。
令和3年中に民間の事業所が支払った給与総額は225兆4,195億円で、源泉徴収された所得税額は11兆1,870億円(給与総額に占める税額の割合は4.96%)。

1年を通じて勤務した給与所得者について
・給与所得者数は、5,270万人(対前年比0.5%増、25万人の増加)で、その平均給与は443万円(同2.4%増、102千円の増加)。
・男女別にみると、給与所得者数は、男性3,061万人(同0.5%減、16万人の減少)、女性2,209万人(同1.9%増、41万人の増加)。

平均給与は、男性545万円(同2.5%増、131千円の増加)、女性302万円(同3.2%増、94千円の増加)。

女性の平均給与は過去最高の302万円となり、初めて300万円台に乗りましたが、男性の55%程度にとどまり、依然として男女格差が大きい状況です。

賃金不払残業に関する監督指導 令和3年度の是正企業数は1,069企業(前年度比7企業の増)

厚生労働省から、「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」が公表されました。(令和4年8月30日公表)。

この是正結果の公表は、平成14年度から毎年度行われているものです。
今回公表されたのは、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和3年度に、不払となっていた割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。

<令和3年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント>
・是正企業数:1,069企業(前年度比7企業の増) そのうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、115企業(同3企業の増)
・対象労働者数:6万4,968人(同427人の減)
・支払われた割増賃金合計額:65億781万円(同4億7,833円の減)
・支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり609万円(同49万円の減)、労働者1人当たり10万円(同1万円の減)

監督指導を受けて支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり609万円ということですが、簡単に支払える金額ではありませんね。

令和2年4月施行の改正で、労働基準法における賃金の消滅時効の期間が、「2年」から「3年(当分の間)」に延長されたこともありますので、日頃から、労働時間は適正に把握しておく必要がありますね。
なお、監督指導の対象となった企業においては、賃金不払残業の解消のために様々な取組が行われていますが、それをまとめた取組事例も厚労省のHPで公表されています。