2019年・年金財政検証結果 厚生年金適用拡大の見通しは?

 5年に一度の年金財政検証結果が公表されました。それによりますと、少子高齢化が進行するなかで、経済状況(経済成長率)により結果が変化しますが、いづれにせよ現状では厳しい結果が示されました。そのなかで対応策の一つとしていつも浮上するのが「被用者保険の適用拡大」という項目です。

 厚生年金には、現在4.480万人が加入しています。内訳はフルタイムの被保険者(いわゆる社員=週30時間以上勤務)が4.400万人、週20時間以上30時間未満の被保険者が40万人です。この週20時間以上30時間未満の被保険者とは、企業規模が501人以上の大企業で、かつ給与が月8.8万円以上の方が対象となっています。

 この対象(週20時間以上・月8.8万円)を企業規模501人未満(つまり中小企業)にも広げると①新たに125万人が厚生年金に加入することとなります。さらに②給与が8.8万円以下の方も含めると325万人が厚生年金に加入し保険料を会社と折半で支払うこととなります。

 年金財政がひっ迫するなかで、①、②と順次拡大されていくことが予想されます。年金を受け取る側からみると、厚生年金に加入することは年金額が増え、基本的に歓迎する方が多いと思われますが、中小企業の場合、保険料の負担がのしかかることとなることも考えていかなければなりません。