部下の残業減らし仕事増 自殺の管理職労災認定 遺族損害賠償求め訴訟

 ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」の販売店の男性店長=当時(48)がうつ病で自殺した件について、千葉労働基準監督署が労災認定したことがわかりました。部下の時間外労働を抑えるために仕事を抱えたことからなどから長時間労働を強いられ、うつ病を発症し、自殺したと認定されました。

 男性は2015年3月、新規オープンする販売店の店長に就任しましたが、部下の時間外労働を抑えるため、仕事を自宅に持ち帰るなどしていました。うつ病になる前は月80時間を超える程度の残業でしたが、新規オープンの準備期間が短く焦りや不安があり、店が赤字になったことも心理的負担になっていたようです。

 ところが会社は、男性がうつ病を発症し通勤できなくなったことから懲戒解雇しました。この解雇を不当として係争中に自殺したものです。男性の遺族は損害賠償を求めて訴訟をおこしています。

 従業員が精神疾患を患った場合、ましてや労災認定される程度に仕事が原因である場合、会社は慎重な対応が求められることはいうまでもありません。ましてや懲戒解雇などは会社の取るべき対応のうち最悪なものでしょう。従業員の生命・健康は会社の宝であると諭した判例もあります。